兵庫県林業会館は、森林・林業関係団体が入居するオフィスビルです。県産木材を利用したCLT(直交集成板)※1を使った工法の建物に建替えることが決まり、平成31年1月に完成しました。「CLTと鉄骨ハイブリッド構造」を日本で初めて採用した都市型オフィスビルです。
1階のエントランスホールは一般市民も見学できる空間であり、「森林・林業関係の情報発信」を目的とした展示コーナーが設けられ、見学会やセミナー、近隣住民の憩いの場として活用されています。
※1 CLTとは
CLTとはCloss Laminated Timberの略で、ひき板を並べた層を層ごとに直交するように重ねて接着した、新しい木質構造材料。兵庫県林業会館は2階以上の壁、床で兵庫県産の杉やヒノキを使用したCLTと鉄骨のハイブリッド構造。外周部をガラスで覆い、床も耐火被覆をして防火地域内で建築が可能になった。木を使うことで建物が軽量化し、鉄骨でフレームを作っていることで木造では難しい大きな空間にも対応できる。
六甲山材はココに!
エントランスの展示コーナーの床には、六甲山の間伐作業で発生したコナラ材を用いたコナラハイブリッド合板※2を使用しています。
展示コーナーの一部にある休憩スペースのスツールの座面には、六甲山のヒノキ材の他、クスノキ・シイノキ・イチョウ・ケヤキ・カシが利用されています。さらに天井は木格子で、ガラス張りの明るい空間となっており、木のたまごのプールや、木のおもちゃなどの展示をした木育体験スペースもあり、誰でも自由に利用できます。
コナラのような広葉樹は六甲山に多く存在しており、間伐等で発生した材を有効活用したいという意図から、六甲山限定仕様モデルのコナラハイブリッド合板を開発し、木材利用と森林保全の資源循環をPRしています。利用者には六甲山の未利用材活用のコンセプトとそれを実現した樹木の香りや温もりのある空間が好評です。
※2コナラハイブリッド合板
六甲山材のコナラを板材にし、それを乾燥させて積層接着したあとに厚さ3mmの薄板材を製材。その薄板材を市販の12mmのスギ合板に貼り付けしたもの。無垢材ほど反りや木のあばれもなく、コナラの表面硬度を活かした耐摩耗性の高いフローリングである。